銘柄分析:モンデリーズ
【MDLZ銘柄分析】モンデリーズ・インターナショナルはオレオ、リッツなどが有名な世界的菓子メーカー
※2017年12月期決算データ反映、BSデータ追加、コメント刷新(2018/4/29)
S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。
データソースはMorningstarです。
今回はモンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)をご紹介します。
モンデリーズ財務情報等
基本情報
会社名 | モンデリーズ・インターナショナル |
ティッカー | MDLZ |
創業 | 2000年 |
上場 | 2001年 |
決算 | 12月 |
本社所在地 | イリノイ州 |
従業員数 | 83,000 |
セクター | 生活必需品 |
S&P格付 | BBB |
監査法人 | PwC |
ダウ30 | × |
S&P100 | ○ |
S&P500 | ○ |
ナスダック100 | × |
ラッセル1000 | ○ |
地域別売上構成比
商品別売上構成比
業績
キャッシュフロー
バランスシート
資産
負債純資産
株主還元
連続増配年数
4年
バリュエーション指標等(2018/4/29時点)
PER:20.0倍 最新情報はこちら
配当性向:36% 最新情報はこちら
感想
モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)は旧クラフトフーズで、その北米食品部門を2012年にスピンオフしてグローバル向けの食品メーカーとして誕生した会社です。北米食品部門はクラフト・ハインツが担っています。しかし、物言う株主のウィリアム・アックマン氏は再びクラフト・ハインツと統合するようモンデリーズ経営陣に促しているようです。
モンデリーズの事業分野は以下の5つです。
・ビスケット
・チョコレート
・ガム&キャンディー
・飲料
・チーズ&食料品
ビスケットとチョコレートの2事業で売上高の約7割を占めます。そう言えば、最近ヨーロッパ旅行に行った同僚のお土産で「キャドバリーデイリーミルク」の板チョコを頂いたのですが、めちゃくちゃ美味しかったです!
お菓子は日本メーカーが一番美味しいと思いますが、チョコはヨーロッパのも美味しいですね(値段は高いけど)。
主なブランドとしては「ナビスコ」、「トライデント」、「オレオ」、「リッツ」、「メントス」などがあります。山崎製パンのオレオ、リッツの販売を巡ってのニュースは記憶に新しいところかもしれません。山崎製パン子会社とのライセンス契約は2016年8月で終了しました。
過去の財務データを見てみましょう。
2012年にスピンオフしてできた会社なので売上高推移は単純には時系列比較できませんが、スピンオフ後のFY12以降も売上高はやや下降気味です。2017年は為替(ドル安)の追い風がありましたが事業売却もあり売上高は微減に終わりました。事業売却の影響を除いたオーガニックの成長率は+0.9%。コスト削減努力により利益は増加しました。
FY15にオーストラリアなどで食品事業を売却しています。その際に発生した特別利益の影響でFY15は純利益、EPSが大きく伸びています。これは一時的なものです。
食品事業ということで営業CFとフリーCFは安定しています。営業CFマージンは直近11%と高収益の目安とされる15%には至っていません。
バランスシートを見てみましょう。ここ5年間でBS構造に大きな変化はありません。総資産の約9割が固定資産です。固定資産の大半は過去の買収によって認識したのれんと無形資産です。無形資産は主にナビスコ、スペイン・ポルトガルのUnited Biscuits等のブランドネームでこれらは償却していません。一部商標権や顧客資産、ライセンスなどの償却している無形資産もあります。菓子メーカーということで製造機器などの有形固定資産が多いと思われるかもしれませんが、それら設備が総資産に占める割合は小さいです。
FY13以降増配を続けています。配当以上に自社株買いの金額が大きく総還元性向は平均して100%を超えています。FY16に総還元性向が200%を超えていますが、これはFY15の事業売却収入を期ズレでFY16に株主還元しているためだと思われます。特に異常値ではありません。きちんと特別利益を株主に還元していて好感を持ちます。
米国では顧客が安価なプライベート・ブランド(PB)商品を好む傾向が出てきており、既存の食品ブランドが苦戦しています。例えば、ゼネラルミルズ(GIS)のヨーグルトブランド「ヨープレイ」は、新興ブランドの「チョバニ」にシェアを奪われています。アマゾンが買収したホールフーズ・マーケットも「365エブリデーバリュー」というPB商品の展開に力を注いでいるようです。
米国の食品大手は現在苦境を迎えています。しかし、モンデリーズは米国売上比率が25%弱しかないので、米国内のPB商品普及の影響は相対的に小さいです。またナビスコやオレオなど保有しているブランドも強く、売上高が下落し続けることはないと思います。モンデリーズなどのブランド力のある食品会社は、毎年の営業キャッシュフローが安定していて長期投資に向いていると思います。